公開保育

2025/8/27

〈公開保育レポート〉8/8 東月寒にれこども園(北海道)

スマートエデュケーション植木です。

8/8に北海道札幌市の東月寒にれこども園にて公開保育を実施しました。

東月寒にれこども園では、毎年3歳児以上のクラスを対象に、地域の自然や環境に親しむことを目的とした円山動物園への遠足を実施しています。北海道ならではの動物に注目することで、地域の魅力や特色を生かし、子どもたちの関心や探究心を育む機会を大切にしています。今回の公開保育では、「北海道ならでは」をテーマに、異年齢の小グループに分かれて活動を行いました。

↓以下、当日の様子です↓


【テーマ:「みんなでつくる!北海道の動物園」】

公開保育に向けて、これまでに活動は4回行われ、今回は5回目にして最終章となります。

まずはホールに集合し、これまでの活動の振り返りと「きっつたいむ」の挨拶、そしてみんなで約束を確認しました。

※「きっつたいむ」とは、スマートエデュケーションの教育コンテンツ「KitS(きっつ)」を活用した独自の教育活動です。

<東月寒にれこども園での、きっつ3つのお約束!>

・お友だちと仲良くする ・先生のお話を聞く ・iPadも大切に使う

この場では、先生が一方的に話すのではなく、子どもたちに問いかけながら進められました。
「きっつたいむのお約束って何だっけ?」「今まできっつたいむでどんなことをしてきたんだっけ?」「動物園にも行ったよね!どんな動物がいたっけ?」といった質問を通して、子どもたち自身が思い出しながら話に参加できるようにしていました。

こうしたやり取りの中で、これからの活動に向けてワクワク感が自然に生まれていたように感じます。

また、ホールには、前回までの活動の続きが用意されていました。今回は、このエリアに住む動物たちを作る製作活動です。どんな動物が登場するのか、子どもたちも先生も楽しみにしています!


【各部屋の環境構成】

・iPad1台
・個人のクレヨン、ハサミ、のり が机に設定されています。

保育室の一角には、段ボールや空き箱、芯など、子どもたちにとって身近な素材が用意されており、自由に選んで使うことができます。

また、製作に必要と予想される用具も豊富です。
図鑑、紙類、色鉛筆、マジック、スズランテープ、セロテープ、両面テープ、素材(画用紙、折り紙、花紙、綿、毛糸、セロファン、モール、紙テープ、カラーポリなど)


【製作開始!】

ホールでの挨拶の後、子どもたちは保育室へ移動しました。
各グループで、事前にどんな動物を作るか話し合っていたようで、子どもたちは迷うことなく製作に没頭していました。
目で見て手に取り、イメージに合ったものを真剣に選ぶ姿、

友だちと話し合いながら進める姿、異年齢での交流、

そしてiPadを使って動物を「調べる」姿など、一瞬にしてさまざまな姿が保育室に見られました。

iPadで検索する際には、「先生、ひらがなを打って!」と先生の手を借りたり、分かる子が率先してキーボードを入力したりする様子も見られました。


【製作時の様子】

セロテープやガムテープで固定しようとしても、なかなかうまくいかないこともあります。そんなとき、先生はそっと近くで、友だち同士が試行錯誤する姿を見守ります。協同性が自然に育まれています。

ハサミの使用が少し心配なときも、先生はそっと手を差し伸べ、子どもが挑戦する姿を支えます。

時には、先生の問いかけや助けが必要な場面もあります。

ここで大切なのは、「これ使いな!」「こうするんだよ!」と指示するのではなく、子どもたちの思いや考えをしっかり受け止め、引き出し、たくさんの選択肢を提示することです。その中で子ども自身が選択するという、まさに子ども主体の保育が、どのグループでも行われていたように思います。

「作る」だけでなく、下絵を使って色塗りをする子もいました。
友だちと一緒に取り組んでいるけれど、どこか少し違う。個性が見え、とても素敵だと感じました。

「おとえ」のアプリを使って完成したヒグマに声を吹き込むグループを発見しました。
アプリの操作も子どもたち同士でバッチリ行い、「他の声が入っちゃうから、場所を変えよう~!」と声を掛け合いながら、グループ全員で静かな場所に移動。見事に声を吹き込むことができました。

そして、ついに動物たちが完成しました!

「えぞきつねを作ったんだ!お菓子のやつが足りなかったから、紙コップをくっつけて足にしたの。見て!しっぽは毛糸にしたんだよ!」
完成した動物を満足そうな表情で教えてくれた男の子。
「机の上だけじゃなくて、椅子にも立つよ!ほらね!床にも立てるんだ~!」
その表情はとても輝いており、達成感にあふれていました。


【展示・発表】

子どもたちは、それぞれ作った動物をどのエリアに置くか考え、話し合いながら好きな場所に展示しました。

色を塗った作品は、KitSのアートポンに取り込みます。自分の作品だけでなく、友だちの作品も見ることで、さまざまな表現の仕方があることに気づける環境になっていました。

各グループごと、何を作ったのか、どこがポイントなのか等、発表の場がありました。

エゾモモンガを製作した男の子には、おもしろいエピソードがありました。
作品のポイントは、オレンジ色の羽と頭についた“たんこぶ”。先生が「どうしてたんこぶがあるの?」と尋ねると、「ふざけて飛んで、木にぶつかってたんこぶができたんだよ」と、話してくれました。

作品には、その子なりの物語が込められており、見るだけでは分からない世界を、製作や言葉を通して表現する姿がとても素敵だなと感じました。他にも、シマエナガやエゾシカ、エゾオオカミ、フクロウ、キタキツネなどが作られました。

子どもたちが見てほしいところは、「顔!足!角!」など、さまざまです。

また、「ゾウを作ろうと思っていたけれど、素材をつなげてみたら蛇に見えたからエゾヘビにした!」といった、製作のポイントや秘話も発表の場で聞くことができました。こうした姿は、まさに主体性のある保育だからこそ見られるものだと感じました。


【研究討議】

午後は、園長の松本先生、副園長の戸嶋先生によるお話の後、職員の皆さんと参加者の皆さんでグループ討議を行いました。さらに、弊社スマートエデュケーションの大澤から、保育の振り返りに関するコメントもありました。

①園長 松本先生:「園の紹介」「保育方針」「KitS導入の経緯」

東月寒にれこども園では、自然豊かな周辺環境を生かして、子どもの思いを引き出し伸ばすことを大切にした保育を実践しています。「幼小接続」に力を入れており、単に楽しく遊ぶだけでなく、考えたり工夫したりしながら主体的に遊べる環境づくりに取り組んでいます。

<KitS導入の経緯>
2021年より、子どもの遊びにICTを導入しました。
コロナ禍で子どもたちの学びにおけるデジタルの可能性が一気に広がったことや、本格的なAI時代の到来に伴い、子どもたちが自己発揮していくうえでICTを道具として使いこなす力が必要になるだろうと考え、導入を決めました。

デジタルとアナログにはそれぞれ良さがありますが、子どもたちの遊びを少しでも自由で豊かにできるのがKitSだと、お話ししてくださいました。

➁副園長 戸嶋先生:普段の取り組み・ICTの使い方・園のチャレンジ

東月寒にれこども園では、教育プログラムのひとつとして「きっつたいむ」を実施しています。
3~5歳児を対象に、月2~3回アプリを活用した活動を行い、実践後は改善点を話し合いながら、次の活動につなげています。
今年の春からは公開保育に向け、職員で「きっつたいむチーム」を結成し、異年齢で「北海道の動物」をテーマに活動しました。

フィンガーペイントによるグループ表現から始まり、図鑑や円山動物園への遠足を通して動物を決定。その後、ICTを活用してエリア製作を行いました。

先生たちは、子どもの発見を引き出し、自分で考えたり試したりできるように問いかけや環境を工夫。今回の活動では、子どもたちの主体性や協同性がより育まれることが期待されているとお話しされていました。

③グループ討議

職員の皆さんと参加者の皆さんで公開保育の感想など話し合いました。

・東月寒にれこども園のiPadの使い方は、指導案通りではなく、日常の保育に自然に取り入れられている点が良かった
・異年齢の中で、年長児が年少児を気遣う姿が見られた
・ICTをまだ導入していない園でも、導入したいという気持ちになった
・ICT導入によるメリット・デメリット
・トラブルはないか、保護者への工夫について
などのお話がありました。

東月寒にれこども園では、現在iPadを取り入れることで、子どもたちのコミュニケーションや異年齢交流に役立ち、知りたいことを調べるツールとして自然に身についているといいます。

これは、小学校への接続に向けて、子どもたちがスムーズにデジタル社会に入っていける環境づくりにもつながるとのことでした。

参加者からは、「小学校ではプロジェクターを使って子どもがプレゼン資料を作る。慣れている子は音楽も入れながらサクサク作ることができる。それは幼児期から道具として扱ってきた経験が活かされているのだろうと感じた」という感想もあり、実り多き討議になったようです。

④スマートエデュケーション大澤:保育の振り返りコメント「こども主体の保育とICT」

最後に、弊社KitS担当の大澤よりお話をさせていただきました。

ICTって子どもにとってどんな道具なんだろう】

子どもにとってのICTとはどんな道具なのか、以下の3つと私たちは主に考えています。

  1. 気づきが増える道具

    電子顕微鏡で1000倍の世界が見えるように、普段は肉眼では見えないものを見せてくれる。そんな体験が、子どもたちの好奇心や探究心の芽を育み、想像力を広げるきっかけになる。

  2. 表現が広がる道具
    アナログではできない表現を可能にする。平面や立体の作品を取り込んで画面の中で自由に動かしたり、声を吹き込んだり。自分が作ったものが動く、音のないものに声を入れられるなど、デジタルならではの表現で、子どもの思いが形になる。

  3. 他者とつながる道具
    ICTは情報共有に優れており、発見やアイデアを分かち合える。そこから、自分とは異なる表現に出会い、新たな気づきを得ることができる。

上記のことを大切に、ICTを「受け取るだけのもの」ではなく、「子ども自身が作り手や表現者になれるもの」として体験してほしい、「デジタルじゃないとできない体験って何だろう」を考えながら、アプリを開発しています。

ICTがうまく使えない、どうしたらいいんだろう?】

現場からはそんな声も多く聞こえてきます。
私たちが考えている「ICTがあることで保育環境が豊かになるポイント」は、次の3つです。

  1. 差し出すタイミング

    大人は何か分からないことがあればすぐに検索をします。それが生活に染みつくことで、もしかしたら失われてしまう体験もあるのではないでしょうか。
    「使わなかったらどうなるんだろう」という視点をもつことが大切です。名前が分からなくても、よく観察して絵に描いてみる、触感を楽しむ、それを主人公にして物語を作ってみるなど、ICTがあるからこそ調べる前にできることはもっとあるという視点が必要です。

  2. 周りの環境づくり
    アナログの環境が面白く、作ることが楽しいと、タブレットがあってもあまり使いません。必要なときだけ調べるという使い分けが自然にできるのです。

    一方で、タブレットと自分だけが向き合う環境では、遊びが広がりません。タブレットを置くなら、それに負けないくらい魅力的な環境を作ることが必要です。

  3. アナログとの往還

    作ったものに音を入れる、それをQRコードにして紙に印刷し掲示する。こうしてアナログとデジタルの世界を行き来しながら活用できる保育環境を作ることも大切です。

ICT活用には「答え」がないため、難しいと感じることもあると思います。

今回東月寒にれさんに伴走する中で、先生方も迷いながら「これでいいのかな」とすごく考えて公開保育当日に至っています。悩んだり壁にぶつかったときには、一人で抱え込まず、チームで意見を出し合い、子どもたちのために保育環境を作るその過程が、貴重で価値のあるものだなと感じました。

先生たちは「失敗したくない」と思いがちですが、失敗がないということは課題もなく最初からすべてがスムーズに進むことであり、だからこそ迷いや揺らぎを感じながら保育に取り組むことにこそ価値があるのだと思います。


今日の保育では、ICTが“イメージを共有する道具”として生きていました。
自分のイメージを言葉だけで友だちに伝えるのは難しくても、画像を見ながらならコミュニケーションのひとつとして役立っていたと思います。

また、“表現の道具”としても輝いていました。
たとえば「クマに音を入れたい」という子どもたちの発想から、効果音を付けるなど、アナログだけではできない表現を実現していました。

さらに印象的だったのは、「タブレットを使ってもいいけど使わなくてもいい」という環境です。
豊富な素材の中で、子どもたちは自分のイメージをもとに夢中で作品を作っていました。一人で集中して取り組む子もいれば、友だちと協力してひとつの作品を作る子もいて、「自分のイメージを形にしたい」という思いが強く伝わってきました。ぜひこの環境をこれからも続けてほしいと感じます。

最後に、タブレットはあくまで「道具」です。日常的にアナログも含めた多様な道具や素材に触れる経験があるからこそ、「この時はこれを使いたい」と自分の表現に合った手段を選び取ることができます。

今日見せていただいた保育は、まだ「点」であり、完成系でも終わりでもなく、ここからきっと、どんどん進化していくのだろうとすごく感じました。


東月寒にれこども園さん、Instagramでも当日までの様子を投稿されています!
ぜひチェックしてみてください🎶
>> 東月寒にれこども園インスタグラム <<

【まとめ】

今回の公開保育を通して、子どもたちが自分で考えたり、友だちと協力したりしながら活動に取り組む姿、身近な素材がたくさんある中で、ICTを「道具」として活用する姿を間近で見ることができ、私自身新たな学びになりました。

また、先生たちが子どもたちの思いや考えをしっかり受け止め、引き出す関わりが、主体性あふれる保育の土台になっていることを改めて実感しました。
東月寒にれこども園の先生方、子どもたち、環境含め、本当に素敵な園でした。
今後の発展もとても楽しみです。貴重なお時間をありがとうございました。

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