公開保育

2025/10/3

〈公開保育レポート〉8/28 めぐみこども園(福井県)

こんにちは。スマートエデュケーション三浦です。8/28に福井県福井市にあるめぐみこども園にて公開保育を実施いたしました。

 今回は、玉川大学 大豆生田先生をお迎えしての公開保育です。全国から約90名の先生にご参加いただきました。午前は、めぐみこども園さんの”いつもの日常”を覗かせていただきました。午後は、大豆生田先生のご講演も含め、めぐみこども園の先生によるパネルディスカッション等を実施。そんな盛りだくさんな当日の様子をレポートします!
 ちなみに当日はオンライン公開保育も同時開催。こちらは約100名の方にご参加いただきました!

【めぐみこども園について】

めぐみこども園のコンセプトは「子どもも大人もわくわく楽しめる保育」子どもが主体的に過ごせる環境を大切にしながら、先生の主体性も尊重しています。日々の対話振り返りを大切にし、子どもも先生も学び合う文化が育まれているのが大きな特徴です。

 園内には、日々の保育を可視化するドキュメンテーションが掲示されています。掲示を見て「こんなことやったね!」と振り返る子どもたちや、前の活動をヒントに新しい遊びを生み出す姿もあります。保護者への毎日の配信も行われ、保育への理解や協力につながっています。

【屋内環境】

● ICTを活用した保育

普段、子どもたちは異年齢で活動しています。この日、5歳児さんの保育室では「チョキペタ」というアプリでお手紙を作っていました。このお手紙は、オンライン交流をしている山形県の友達に向けて作っています。

 子どもたちは相談しながら「何を伝える?」「何を聞く?」と考え、ICTを“道具”として主体的に活用していました。先生方はICTを差し出すタイミングやアナログとの往還を大切にしているそうです。ICTに負けない豊かな環境設定を意識している、とおっしゃっていました。

 その他にもこんな作品もありました。こちらも同じくチョキペタで作成しています。カタツムリの観察レポートを子どもたちで作ったようです。

 その他にも、デジタル顕微鏡で自然物を観察する取り組みや、「アートポン」という描いた絵や画像が動き出すアプリを使って、おばけ射的をしていました。さすがのアイデアです!

● コーナー環境

 クラスには子どもの「やりたい!」から生まれた多彩なコーナーが用意されています。「子どものわくわくを広げる」だけでなく、先生自身も新しい発見や楽しさを味わっていることを強く感じました。準備や環境づくりには工夫が必要ですが、それも含めてチームで考える時間が園全体の学びや楽しさにつながっているんだな、と先生の表情を見て感じました。

 いくつか、コーナーをご紹介します!おばけやしき・占いの館・射的・ペンギンの水族館・蟻のおうち・アイドルステージなど、子どもたちが工夫してつくりあげた世界が広がっています。

こちらは2歳児さんの保育室です。ロフトの上り下りを楽しんだり、コーナーでごっこ遊びに夢中になったり。落ち着いて遊び込める空間です。

続いて1歳児さんの保育室。

1歳児さんのお部屋は0歳児さんのお部屋とつながっていて、さまざまな遊びを通して共に育ち合える環境になっています。

水族館コーナーがあったり、ちょっとこもって遊べる場所があったり。子どもたちがいろいろなことに関心を持ちながらも、安心して過ごせるような環境が整っていました!

● ぴーすたいむ

 園では「ぴーすたいむ」というサークルタイムの時間を設けています。「ぴーすたいむ」では、子どもたちが日中の活動や感じたことを振り返り、共有します。意見を出し合って遊びを作るだけでなく、つらかったことや嫌だったことも話題にします。解決がゴールではなく、相手を尊重して対話することを大切にしています。

 時間や回数は決まっておらず、スタイルもさまざまです。クラス全体で行うこともあれば、活動内容に応じて数名で行うこともあります。すべての判断は先生に委ねられており、「必要な時に、必要な人数で」行われているのです。先生の判断だからこそ意図があり、一つひとつが有効な時間となっているのだと感じました。

 とても楽しそうに話をしたり、お友達の話を聞いたりしている子どもたち。この対話の場づくりをどのように進めてきたのかを先生方にお伺いしたところ、ここに至るまでには日々の試行錯誤があったようです。
 最初はどう進めればよいか悩み、他園のサークルタイムをたくさん見学。その後は、とにかく「実行→振り返り」を繰り返し、今の形につながっているとのことでした。「回を重ねるごとに子どもたちの声や関わり合いが深まっていくのを感じ、すればするほど楽しい時間になっています。これからも子どもたちと一緒に深めていきたいと考えています」とお話ししてくださった先生。子どもたちの本音や思いに出会い、それを一緒に受けとめ合える──先生にとっても喜びと発見に満ちた時間となっているようです。

● スヌーズレンルーム(リラックスルーム)

 スヌーズレンルームは、安心できる特別な空間として整備されています。光・音・香り・触覚など五感を刺激しながらリラックスできる環境で、子どもの気持ちを落ち着かせる場、保護者がゆったりと過ごせる場として活用されています。

外の音を遮断しバブルタワーのポコポコといった音が、大人である私も落ち着く空間でした。

【屋外環境】

 園庭環境は、先生たちが話し合いを重ねたり、子どもたちの声を取り入れたりしながら、大人と子どもが一緒になってつくりあげています。ガチャポンプで井戸水を汲む遊びや、雨水を活用した水遊び、絵具遊びやままごと遊びなどが広がっています。お絵描きや絵本を読むことは、屋内だけでするものではない。屋内・屋外共に「ここでやりたい!」という子どもの声を拾えるような環境が整っています。

 園庭は「自然とつながる遊びの広場」として、子どもの学びを支えています。
・多様な自然素材に触れ、身体全体で遊ぶ
・命と出会い、生き物の成長や大切さを学ぶ
・友達と協力し合い、協調性を育む
・遊びの中から科学的な探究心を育む
・地域とつながり、園庭をコミュニティの広場として開放する
・自然の中でリラックスし、ほっと一息つける環境

 給食室から出る廃棄食材や雑草はコンポストに入れて「たい肥」に再生され、畑や花壇に活かされています。園庭は市の公園と境界を設けずにつくられ、土日には一般開放も行っています。地域と「持ちつ持たれつ」の関係を築きながら、子どもたちの遊びが広がっています。

● バスボム作りから「めぐみ温泉」を開催 (4・5歳児のあそび)

 子どもたちが大好きなスライム遊びから発展したバスボム作り。「園庭に魔法の粉がある?!」とお友達が教えてくれたのがきっかけです。その魔法の粉の正体は、石鹸。匂いを嗅いでいるとバスボムを作りたくなった!と始まりました。
 まずは買い物からスタート!いろんな材料で作るも簡単には成功しません。失敗した後に、先生と一緒に調べてみました。1週間、何度も何度も作る。本当の実験です!
 バスボムが完成!でも、まだ終わりません。その後、”ぴーすたいむ”で「海水に入れたらシュワシュワになるのかな?」と子どもたちの疑問が広がります。その後も紆余曲折を経て「せっかく作ったバスボム。一番溶けるのはお湯!」ということで、園庭にめぐみ温泉を作ることになりました。遊びはまだまだ続きそう、とのことでこの後の展開も楽しみです!また、この取り組みを保護者に伝えると、手ぬぐいや桶を持ち寄って協力してくださったそうです。保護者も巻き込むことで、豊かな保育環境が生まれています。

● 製作活動やICTもできちゃうアトリエハウス

 園庭の一角には「アトリエハウス」があります。冷暖房完備で、季節や天候に左右されず、子どもたちがゆったりといろいろな遊びを楽しめる空間になっています。製作あそびをしたり、園庭の生き物を観察したり調べたり、地域の方と交流したり、クッキングをしたり。室内と屋外が往還するあそびもよく生まれています。

 ここでは、絵の具を使ったお絵描きや造形活動を存分に楽しむことができます。さらに、ICT機器も導入されており、デジタル顕微鏡で自然物を拡大して観察したり、アート系アプリを使って作品をモニターに映し出したりすることも可能です。

 アトリエハウスの魅力は、屋内でできる活動を、屋外の空気を感じながら楽しめることです。自然に囲まれた環境の中で、子どもたちは「今日は外で走り回りたい」「今日はアトリエでじっくり描きたい」と、その時の気持ちに合わせて自由に選ぶことができます。子どもたちにとっては、アナログとデジタル、屋内的な活動と屋外の開放感──その両方を行き来しながら、自分の表現を深めていける特別な場所になっています。

● ビオトープ

 園庭にはビオトープがあり、子どもたちが水や草木、生き物とふれあえる環境が整っています。春にはオタマジャクシを観察したり、ヤゴが成長してトンボになる姿を間近で感じたりすることができるなど、自然界の生態系ができています。子どもたちにとっては、命のつながりや自然の変化を実体験できる場です。

 さらに、ビオトープは「遊びの場」としての魅力もあります。水の中に足を入れて感触を楽しんだり、小さな生き物を探したりしながら、五感を通して自然とつながります地域の生き物の先生を招いて学ぶ機会もあり、遊びながら命の大切さを学べる場所です。

 特徴的なのは、柵を設けず、子どもが自由に出入りできるようになっていることです。だからこそ「今日は触れてみよう」「今日は見るだけにしよう」と、子どもたちは自分自身で関わり方を選んでいます。近くでじっくり眺める子もいれば、全身で水に入って楽しむ子もいます。そのどちらも尊重され、子どもたち一人ひとりの関わり方が大切にされています。ビオトープは、子どもたちが自然と命にふれながら「感じる・学ぶ・遊ぶ」を一体として楽しめる、特別なフィールドとなっています。

【講演会とフィードバック】

 午後の時間は、玉川大学の大豆生田啓友先生を迎えての講演会・めぐみこども園の先生によるパネルディスカッション等が開かれました。その様子についてご紹介いたします。

● 先生たちの保育の振り返りポスターセッション

 公開保育のあとは、めぐみこども園の先生方による 「7つのポスターセッション」 が行われました。0歳から5歳まで、それぞれのクラスで日々の保育の中から見えてきた子どもの姿や、先生たち自身の振り返りが大きな模造紙にまとめられていました。

 各年齢のポスタータイトルはこちらです!

 ポスターには、遊びの中での子どもの表情や会話が写真とともに記録され、そこに先生たちの気づきや問いが添えられています。「赤くなったら食べようよ」「かくれんぼってどんなあそび?」「恐竜あそびを通して変化した子どもの姿と私たちの思い」など、どのテーマも子どもの発想や興味から広がっていったものでした。来場者はポスターを見ながら先生方の説明を直接聞くことができ、子どもたちの学びの深まりと、それを支える先生の思いや工夫 を同時に知ることができました。

 印象的だったのは、先生方がイキイキと話をされていたことです。どの先生も「子どもたちとこんな素敵なことをしてるの!聞いて!」という雰囲気。ポスターには子どもたちと先生の豊かな対話が書きあらわされてました。このポスターセッションは、子どもの主体的な遊びだけでなく、先生方が学び続ける姿勢そのもの を共有する場となり、参加者にとっても深い学びの時間となりました。

先生方に向けた助言(玉川大学 大豆生田啓友 先生)

ポスターセッションの後は、大豆生田先生による講評です。その日の保育の様子を振り返りながら、一つひとつの実践にコメントを寄せられました。その一部をご紹介します!

・ICTが子どもにとって“選択できる道具”になっているのが素晴らしい。先生が先に手を出すのではなく、子どもが考えて活用していることが大切である。
子どもの小さなつぶやきや工夫を“見える化”することが大切。掲示や配信を通して、子どもや保護者に伝えているのは意義深い。
五感を使って、目で見て、手でさわって、心で感じる学びこそが、子どもの心に残る。そういう環境が豊富に用意されていることが、とても素晴らしい。

 大豆生田先生は特に、先生方が楽しそうに保育をしている姿に注目されました。「先生が楽しんでいることが、子どもの主体性を引き出している」と語り、大人のわくわくが子どもに伝わり、保育の質を高めるという視点を示されました。

● パネルディスカッション

 パネルディスカッションでは、園長先生や主任の先生、担任の先生方が登壇し、それぞれの立場からめぐみこども園の歩みについて語られました。素晴らしい保育環境をお持ちのめぐみこども園さんですが、驚くことに、園がこのような姿になったのはここ5〜6年のことだそうです。一斉保育からコーナー保育へと移行する際には、最初は戸惑いもありましたが、「子どもの姿を信じる」 ことを軸に一歩ずつ実践を積み重ねてこられました。なかでも、先生同士で振り返り、語り合うことが園の文化として根づいたことが、現在の保育を支える大きな力になっているとのことでした。

 議論はさらに小学校との接続にも広がり、「遊びの中で育つ主体性や表現力、対話する力は、そのまま小学校以降の学びに通じる」 ということが確認されました。単なる「就学準備」としての活動ではなく、日常の遊びの中にこそ小学校以降の学びの芽があるという視点に、参加者も深くうなずかれていました。
 登壇した先生方からは保育の進化の過程について、「最初は迷いや不安もあったが、振り返るたびに子どもの姿に支えられてきた「大変でもやってよかった」といった率直な言葉も聞かれ、会場の空気が温かくなったのが印象的でした。私自身もこのセッションを通じて、改革の裏には先生方の悩みや試行錯誤が確かに存在していたこと、そしてそれを「子どもと共に楽しむわくわく」に変えてきたことの大切さを改めて感じました。


 めぐみこども園の実践は、先生自身が学び、楽しみ続ける姿勢こそが子どもの主体性を育む ということを強く伝えてくれました。

● 子どもたちの『探求』を支える保育環境とは(スマートエデュケーション 代表  池谷大吾)

 池谷からはこれからの教育に求められる「探求」をキーワードに今日の振り返りをしてもらいました。20世紀型の受動的・画一的な教育から、21世紀型の主体性教育へと移行する中で、子ども自身が問いを持ち、夢中になって遊びを深めていくことこそが探求の始まり。先生は教える人ではなく、子どもの共同研究者・伴走者として寄り添う存在であり、めぐみこども園さんではそういう姿がしっかりと見られた、と振り返りました。

また、探求を支える保育環境のポイントとして、
・興味関心を生む豊かな屋内外の環境や地域とのつながり
・遊びを深めるための「もの見立て」「つくり見立て」の発達に応じた支援
多様な素材やICTを組み合わせた表現の広がり
振り返りを通じた学びの可視化(ドキュメンテーション、ぴーすたいむ)
を示しました。

 とくに印象的だったのは、「ICTは21世紀のハサミである」という言葉です。ゲームや動画視聴といった受動的な使い方ではなく、創造や探求を広げる道具として、アナログとの往還を意識して使うことが大切だということです。最後に、「自然とICT、先生主導と子ども主導、一斉と自由選択──二項対立ではなく、調和やバランスを大切にすることが探求を支える環境につながる」とまとめました。
 会場からも「探求は特別な活動ではなく、日常の遊びから始まる」というメッセージに強く共感の声が寄せられました。

【参加者の感想】

公開保育を終えて、参加者の皆様からたくさんのご感想をいただきました。どれもめぐみこども園さんの保育を賞賛する言葉ばかり!!一部、ご紹介します。

  • とても勉強になるお時間をありがとうございました。保育の仕方、環境の設定の仕方、先生と子どもとの関係など参考になることばかりでした。子どもと一緒に楽しむ保育を目指して今後も頑張っていきたいと思えました。ありがとうございました。

  • めぐみこども園の先生たちの子どもの声を上手に拾って保育を広げている姿に、非常に感銘を受けました。真似したいところがいっぱいです。

  • 現地ではなくzoomでの参加でしたが保育者の解説付きで公開保育を見れたのでとてもわかりやすかったです。ICTは、、、という気持ちがありましたが公開保育を見て、話を聞いて基盤がしっかりあればICTは子どもたちの選択の幅を増やせるツールになるのだなと感じました。子どもの思いを引き出せるようなサークルタイムを自園でも取り入れてみたいと思いました。ありがとうございました。

  •  おもしろい、試したい、やってみたいという心が動く体験を通して、子どもが語りたくなるような保育を心掛けていると、初めにめぐみこども園の園長先生からお話を聞きました。今回公開保育で園の様子を見させて頂き、おっしゃっていた通りの保育をされていたので素晴らしいなと思いました。子どもとの対話、職員同士の対話を大切にしているのだと思いました。

【まとめ・感想】

 今回の公開保育と講演会を通して、大きく2つについて改めて考えさせられました。

「主体性を大切にする保育」
 最も大切なのは、先生自身がわくわくを感じながら保育に関わること。先生が楽しんでいる姿は子どもに伝わり、子どもの主体性をさらに引き出していきます。主体性を大切にする保育とは、子どもと先生が互いに育ち合い、未来へとつながる力を育む保育だといえます。主体性保育には正解やゴールはありません。「必要だと感じて先生同士が対話を始めた時点で、もう主体性保育は始まっている」──その言葉の通り、日々の小さな一歩が未来につながっています。

・「背景にある歩み」
 公開保育で紹介される園や、本・雑誌に掲載される素晴らしい園にも、必ず「泥臭く大変な時期」があります。改革前は一斉保育で、今とはまったく違うスタイルだった先生方も、最初は迷いや戸惑いを感じていました。それでも先生方は口をそろえて、「前の保育に戻りたいとは思わない。やってよかった」と語っておられました。そんな大変な時期も、先生一人ひとりの“わくわく”を意識しながら、みんなで保育をつくってきたことが、今の姿につながっているのだと感じました。

 私自身としても、先生がわくわくしながら「保育って楽しい」と思える園を一つでも多く増やしていきたいと強く感じました。先生が楽しむ姿は、子どものわくわくにつながり、それが子どもの生きる力を育んでいくのだと思います。

 今回の公開保育は、先生も子どもも共に楽しみ、共に育ち合う場こそが主体性を支える保育であることを、あらためて確信する機会となりました。

(文責 スマートエデュケーション 三浦)

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