
KitS(きっつ)のアプリ開発を担当しております、るるです。
先日、レッジョ・エミリア・アプローチの企画展「ボーダークロッシングス ー行き来する、その先へー」に行ってきました!
「子どもと自然とデジタルの出会い」をテーマとしたこの展覧会。私自身、小さな子どもたちとデジタルとの出会いについて日々に考え、子どもたちが「作り手」や「表現者」になれるようなアプリを開発したい!という思いで仕事をしているので、大変学びの多い時間となりました。
ご存知の方も多いかと思いますが、レッジョ・エミリア・アプローチは子ども主体の探究活動やアート活動をベースとした教育アプローチです。「共同性」と「創造性」をとても大切にしており、古くから探究や表現の道具として「ICT」も積極的に取り入れています。
今回の展示では、アナログ(自然)かデジタルかを二項対立でとらえるのではなく、まずはアナログ(自然)との触れ合いを大切にし、その体験をさらに豊かにするための「道具」としてデジタルツールが使われていることが、とてもよくわかりました。
KitSの理念とも共通しています。
ここから、印象に残った展示をご紹介していきます!
今回の企画展は、大きく2つのエリアに分かれていました。
ひとつはアトリエコーナー。もうひとつは、レッジョ・エミリア市の園で「自然とデジタル」が融合したプロジェクトの実践事例紹介です。
① アトリエ体験
アトリエコーナーには、自然物・人工物に関わらずさまざまな道具や素材が用意されていました。光や手触り、大きさなど、一つひとつ異なります。並べ方もとても美しく、遊ぶのはもちろん、見ているだけでも飽きませんでした。
とてもすべて紹介しきれないので、いくつか写真でご紹介します。
⚫︎ 九段下会場
会場に入って最初に目に入るのがプロジェクターの映像です。光源の前にいろいろなものを置き、仮想空間を作り出しています。プロジェクターに投影されることで、ものの大きさが変わるため、とても不思議な映像を作り出すことができます。
いろいろな素材を使って、見え方を変化させる工夫をしていることが印象的でした。
OHPも、レッジョ・エミリア・アプローチでは表現の道具としてよく活用されています。

こちらはマイクロスコープ(電子顕微鏡)です。自然素材の種類が豊富で並べ方もとても美しいです。デジタルの道具だけではなく、虫眼鏡などいろいろな道具を置いています。ここでも見え方の変化を楽しむことができます。

テーブルの真ん中に置いてあるスプレーには水が入っています。植物に水をかけてからマイクロスコープで除くと、水滴がとても美しく見えます。
右側は、絵を描くための道具です。画材や紙の種類もとても豊富。石に水で絵を描くことができる場所も用意されていました。
ありとあらゆるものが表現の道具として活用されています。

プリンターもすぐ使えるように用意されています。子どもたちが印刷したい!と思った時にすぐに印刷できる環境も素晴らしいです。印刷することでデジタルとアナログが往還しやすくなります。

⚫︎ 南青山会場
こちらは南青山会場です。南青山会場には窓がなく、自然光が入りません。デジタルによる光や映像がより美しく映える環境でした。
プロジェクターの映像を鏡で反射させて逆側の壁(布)に映していました。素晴らしい工夫に感動しました。一見複雑に見えますが、鏡を置けばできるので、すぐに真似できそうです!

いろいろな種類の光を足す。三面鏡を用意する。鏡の上にものを置く。本当に少しの工夫でこんなに素敵な空間を作ることができるんですね。

②「自然とデジタル」が融合したプロジェクトの実践事例
さまざまな園での興味深いプロジェクトがパネルで紹介されていました。残念ながらパネルは撮影禁止でしたので、一生懸命メモをして、帰宅後に絵を描きながら振り返ってみました。

・「ダンスする草」(イラスト:上段左)
子どもたちはいろいろな草花を観察し、デジタルカメラで自由に撮影。それをプロジェクターで壁に映し、子どもたちはその映像のなかで踊っていました。
小さな草花はプロジェクターで投影されることで大きくなり、子どもたちは草の中に入り込んでいるような感覚を味わっていたのではないかと思います。
現実の世界では観察対象だった草花と観察の主体であった自分たちが一体化して、一緒にダンスをする。こういった没入空間を作ることができるのは、デジタルならではです。
自然とICTというと、見つけた植物が何という名前でどういう特徴があるのか、と検索するところに行きがちです。しかし、ここでの子どもたちはそれがどんな名前の植物であるかを知る前に、じっくり見たり、匂いを嗅いだり、触ったり、絵に描いたり、物語を空想したりしながら、五感を使ってその植物を味わい尽くしています。だからこそ、最後にその植物と一体化してダンスをすることに、大きな喜びを感じていたのではないかと感じました。
「ダンスする草」。この草は子どもたち自身だと思います。草花への興味から始まって長く続くプロジェクトの中で、最後は自分たちが草になる。プロジェクトのタイトルもとても素敵だな、と思いました。
・「小さな青いたまご」(イラスト:上段右・中段・下段右)
子どもたちが園庭で青い卵の殻を発見。そこからミクロの世界に興味が広がっていきました。園庭のいろいろなものをマイクロスコープで覗くと、とても大きく見えます。 「アリには葉っぱが大きく見えるのかもしれない!」という発見があり、そこから子どもたちはアリや葉っぱを絵に描き始めました。
地面を写真に撮り、自分たちが描いた葉っぱやアリをスキャンして、それをPhotoshop(フォトショップ)という画像編集ソフトで合体させていきます。子どもたちは自然と遠近法や視点を意識し、お友達と一緒に試行錯誤しながら、アリの世界をデジタルで再現していました。アリの視点になれるのも、デジタルならではです。
画像づくりはその後、立体のジオラマづくりへと展開していきました。デジタルで作った画像を印刷して背景に貼り、粘土や紙で作った自然物を配置していきます。そしてそれをまたデジカメで撮影する、というようにアナログとデジタルが行ったり来たりしながら、子どもたちの探究の世界が広がっていました。こうした遊びの展開は、この展覧会のタイトル「ボーダークロッシングス(越境)」そのもの。
KitSでも、iPadを外に持ち出して写真や動画を撮ってみましょう、ということをおすすめしています。園庭と保育室、アナログとデジタルが行ったり来たりすることで、遊びがさらに豊かになっていくことを再確認しました。
例えば「チョキペタ」を使えば、Photoshopよりも簡単に写真と子どもたちの絵を合体させて作品を作ることができます。「mobie」を使えば、さらにそこに音声を加えて物語に発展させることもできます。
KitSでもこんな素敵な世界を作ることができる!と思うと、とてもワクワクします。
ちなみに、同じプロジェクトでの遊びであったかどうか記憶が定かではないのですが、下段右のイラストにあるように、園庭の木の枝に粘土の虫を置いている写真が展示されていました。自然のなかの子どもの造形物というのもとても素敵だなと思いました。これをマイクロスコープで見てみると、粘土の虫の視点を味わえそうです!
お天気次第ではありますが、園庭に展示する作品展なんかもよいかもしれませんね!
・「花から始まるプロジェクト」(下段中)
こちらの展示は、このお花の絵がとても印象的でした。
ある子が園庭にあるパッションフルーツの花を描きました。するとお友達がその絵をスキャンして、コピペでどんどん花を増やしていったのです。増殖した花をプリントアウトし、ペンでまた茎や花を描きたして遊んでいました。
するとある子が、園のフェンスが透け透けで寂しいから、そのフェンスを花で埋め尽くすことを思いつきました!裸のフェンスの写真を撮って、そこにデジタルで増殖した花を重ねて、素敵な花のフェンスが完成していました。
KitSのアプリだと「チョキペタ」でできそうです!
・レッジョ・エミリアでの取り組みを見て感じたこと
上記のほかにも「自然とデジタル」をテーマとしたプロジェクトがたくさん紹介されていましたが、いずれもすごく時間をかけて、じっくり取り組んでいる様子が印象的でした。
学びや探究のプロセスを見ていると、大人はゴールを求めず、子どもの小さな行動や表情、つぶやきから広がる可能性を、とても大切にしていることを感じます。
レッジョの展示会を見ているとき、「これは何につながるんだろう?」「どんな効果があるのかな?」と、ついすぐに考えてしまって、 自分がゴールや答えをすぐに求めたくなるような思考になっていることに気づきました。
レッジョ・エミリア・アプローチでは、ゴールを求めるのではなく、今の子どもたちの行動が何につながるのか、どう展開するのかわからない。だからこそ、その瞬間瞬間を大事にしよう、という思いをもっています。その視点に大きな刺激を受けました。
側から見ると、デジタルでもアナログでも似たようなことをしているじゃないか、と思えるようなことでも、子どもの心の中では全然違うものが生まれているはずです。そこを逃さず大切にする姿勢に感銘を受けました。
また、どの写真を見てもデジタルと子どもが1対1ではなく、デジタルを使う中では常に対話が生まれていました。デジタルはイメージを共有したり、自分の思いを表現したりするための道具。そして、自然と子ども、子ども同士、そして子どもと大人など、子どもと周りの環境をつなぐ道具。ここもKitSの理念と共通していると思います。
日本でも、今学びのスタイルが大きく変革しようとしています。大人が教え込む学びから、子ども自ら探究する学びへ転換するヒントがたくさんあったように感じました。
とても学びの多い展覧会でした。
5/8(木)16:00〜 KitSセミナーのおしらせ
レッジョ・エミリアで活動されていたアトリエリスタ/みりおらーれ代表 津田純佳さんを講師としてお迎えし「創造的環境」とICTをテーマとしたオンラインセミナーを開催します。
詳細はこちらから
6月には「ボーダークロッシングス」が奈良で開催されます!
東京を皮切りに全国を巡回している「ボーダークロッシングス」。6月には奈良会場での展示が始まります。
こちらの会場ではスマートエデュケーションのKitS(きっつ)を活用した展示やワークショップも予定されています。
詳細は追ってご案内いたします。ぜひ会場で展示を体験してみてください!
■奈良・なら歴史芸術文化村会場 (NEW! 4月3日更新)
会期:2025年6月12日(木)〜6月22日(日)(月曜休館)
開室時間:平日・休日:10時〜17時(最終入場:16:30)
会場:なら歴史芸術文化村(〒632-0032 奈良県天理市杣之内町437−3)
資料代:一般1,000円、学生・未就学児 無料
主催:Japan Institute for Reggio Emilia Alliance (JIREA)、
一般社団法人 ORIECC(Organization for Research on International Education and Care for Children)
共催:みりおらーれ、なら歴史芸術文化村
協賛:株式会社スマートエデュケーション/KitS
協力:東京大学大学院教育学研究科附属 発達保育実践政策学センター(CEDEP)
監修:Reggio Children






