コラム

2026/1/14

〈コラム〉子どもが使うiPadのルールを自分達で考える

 小学校で1人1台の端末を使用することが当たり前になった今、保育においても、iPadやデジタル顕微鏡などのデジタル機器を取り入れようという動きが生まれ始めています。
 子どもたちが、遊びや学びの「道具」としてICTを自律的に活用する力を身につけるために、園のなかでもできるだけ自由にデジタル機器を使える機会を設けたい、という思いを持たれる先生も増えています。

一方で
子どもがiPadばかりに夢中になってしまわないか
先生の意図とは違う使い方をされないか
友だち同士でうまく貸し借りできるのか
などの不安を抱える先生も少なくありません。

そんなときに私たちがよくお伝えしているのが、
ルールは先生が一方的に決めるのではなく、子どもと一緒に考える
困ったことが起きたら、子どもたちと話し合いながら解決する
ことが大事だよ、ということです。
 iPadを上手に活用している園ほど、日頃から子どもたちとの対話を大切にしている印象があります。

 「とはいえ、ICTの活用についてどんな風に子どもたちと対話をすればいいんだろう・・・」そんなお悩みをお持ちの先生方に、素敵な事例をご紹介します!


 今回ご紹介するのは北海道の別海くるみ幼稚園さんの事例です。子どもたち自身が感じている困りごとに耳を傾けることの大切さ、そして子どもたちの声こそが先生方の課題解決のヒントになることがよくわかる事例です。
 ぜひご覧ください!


 別海くるみ幼稚園さんでは、オープンルームにiPadを置き、子どもたちが好きなときに好きな場所で自由に使える環境を整えています。

 調べ物に使ったり、造形遊びやごっこ遊びの道具として活用したりと、iPadの使い方はさまざまです。最近では、プロジェクト活動や行事の中で使われる機会も増えてきました。 そんな中、iPadの活用について一つ困りごとが出てきました。 目的のない写真が大量に保存され、容量がいっぱいになってしまい、必要なアプリが入れられなくなってしまったのです。

 先生方の間でも「改めてiPadの使い方を見直したい」という声が上がり、子どもたち自身にも約束事を考えてもらうことにしました。 園のリーダーである年長クラスの子どもたちに先生の困りごとを伝え、iPadを使うときのルールを一緒に話し合いました。

 子どもたちからは、さまざまな意見が出てきました。子どもたちの発言をWebにまとめているのも素敵ですね!

 活発な意見交換が続くなか、Uちゃんから「やることがないからといって、ただ写真を撮らない」という意見が出ました。

 お友達の様子をよく観察しているUちゃんは、ある子がiPadを使う姿を見て「他に面白いことがないから、写真をたくさん撮って遊んでしまっているんだ」と感じていたようです。 実はこの視点は、大豆生田先生がよくお話しされていることとも重なるんです。

 以前、ある園の先生から 「子どもがiPadを使うとき、適切な使用時間はどれくらいですか?」 という質問がありました。 それに対し大豆生田先生は、次のように答えています。

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 時間ではなく、子どもがiPadで何をしているかをよく見てください。もし夢中になって表現したり探究しているのであれば、様子を見守りましょう。
 一方で、子どもが他にやることがなくてiPadに向かっていると感じる場合は、声をかけて他の遊びに誘いましょう。 同時に、子どもたちの遊びの環境が十分整っているのかを先生自身が振り返ることも大切です。子どもにとって面白いことがたくさんあれば、子どもがiPadばかりに夢中になることはありません。

ーーーーー

 この話をセミナーや大豆生田先生による研修などでよく聞いている別海くるみ幼稚園の先生方は、Uちゃんの発言を受けて「こんな視点をもてるUちゃんは、本当にすごい!もっと豊かな遊び環境を整えなくては」と改めて感じたそうです。

 先生は、他の子どもたちにも
「遊びで困っていることはない?」
と問いかけました。

すると、
・Sちゃん:「『おっ!えかき』をやろうとしたら、パスワードが出て使えなかった」
・Tくん:「バグった。設定は押しちゃダメだから、先生に聞けばよかった」
・Yくん:「『チョキペタ』のシャッターボタンが分からなくて、Sくんが教えてくれた」
など、ここでもたくさんの声が聞かれました。

「iPadで困っているのは大人だけで、子どもたちは自由に楽しく使いこなしている」と思いがちですが、実は子どもたちの中にも困りごとがあります。 子どもたちの声を直接聞くことで、先生方は大きな気づきを得ることができたそうです。

 最後に、みんなで話し合って決めたルールを紙に書きました。

年中さん・年少さんにもルールを伝えにいきました。みんな真剣!

ルールは各部屋に掲示しました。

 先生の困りごとと自分たちの困りごとを共有し、それを解決するルールを自分たちで考えることで、iPadの活用方法を「自分ごと」として考えられたのではないかと思います。先生方も子どもたちとの対話を通して 「これからも、しっかりと子どもの声を聞いていきたい」 という思いを改めて強くされたそうです。
 今後も子どもたちの自由に任せきりにするのではなく、先生がiPadの中身を確認しながら、どんな遊びが広がっているのかを把握し、困りごとは一緒に解決していく。 iPadを、遊びを豊かにする道具の一つとして上手に活用していきたい、と話されていました。

 困った時こそ、みんなで話し合って解決する。それが集団生活の価値であり、多様な人と共に生きていく力を身につけることにもつながると思います。先生が「困ったな」と思った時は、みんなで成長するチャンス!ぜひ子どもたちの声を聞いてみてください。
(スマートエデュケーション 大澤)


今回ご紹介した別海くるみ幼稚園さんの日常はこちらのInstagramでご覧いただけます!
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