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映画づくり@ 山口県 伊佐中央幼稚園

スマートエデュケーション大澤です。
今回は、山口県美祢市 伊佐中央幼稚園さんで実施された「映画づくり」についてご紹介します。

伊佐中央幼稚園では毎年12月に生活発表会を行っています。例年、年長さんは劇を行うそうですが、昨年度はみんなでつくった映画を発表しました。

映画づくりのきっかけは、2学期に実施した「Pappet Pals(パペットパルズ)」を使った映画遊びでした。自分たちで写真を撮り合い、トリミングし、即興でセリフをいれて短い物語をつくるという遊びが、クラスで大変盛りあがったそうです。

それぞれが素晴らしいアイデアをもっていて、自己表現をしたいという気持ちが強いお子さんが多かったという年長クラスさん。担任の作本先生は、4月の時点で「このクラスの子たちは映画作りができるのではないか」と感じていたそうです。「いつか一緒に映画づくりができたらいいな」と思っていたところ、この活動をきっかけに見事に思いが一致したとのことでした。


そこから、本格的な映画づくりがスタート!グループにわかれ、2つの映画作品を作ることになりました。タイトルは『ほしくんとコケコの宇宙の大冒険』と『あつまれ幼稚園の森』です。2作品とも「宇宙」がテーマとなっています。

『ほしくんとコケコの宇宙の大冒険』


伊佐中央保育園では、子どもたちが興味をもったテーマについて、1年をかけてさまざまな活動を通して深めていく保育をされています。この学年は「宇宙」にどっぷりはまったようで、4月から宇宙のことを調べたり、惑星の名前を覚えたり、宇宙をテーマにした制作をおこなってきました。そのため、物語のテーマも自然と「宇宙」に決まったそうです。


映画づくりにあたって先生方が最初にしたことは、「物語とはどのようなものか」を子どもたちに伝えることでした。

起承転結がないと、面白い映画にははなりません。そこで先生は各グループのリーダーを集めて、『桃太郎』を題材に「起承転結」の意味を伝えたそうです。その後、クラスみんなで「物語の構成」という視点から『桃太郎』のアニメを観て、面白い物語を作るためにはどうしたらよいかを考えたということでした。

その後は、脚本・配役・セリフから主題歌まで、すべて子どもたちが主体となって決めていきました。

先生の役割は子どもたちの話し合いが行き詰まったときの交通整理と集めた素材の編集作業が中心。映画に登場する素材も、すべて子どもたちが4月からの園生活で作りためてきた作品とのことです。

『ほしくんとコケコの宇宙の大冒険』に登場する、ほしくん。こちらも普段の遊びのなかで作られた作品です。

『ほしくんとコケコの宇宙の大冒険』の映画の脚本は、4月からLaQを使って子どもたちが作ってきた絵本が元になっています。こちらの絵本は、いわゆる映画の原作本です(笑)。

また、劇中に登場する宇宙人の声はなんと「おとねんど」を使って編集。「おとねんど」を使って自分の声を変えるという発想も、きっつの時間に子どもたちから生まれたものだそうです。

もうひとつの映画『あつまれ幼稚園の森』には、空のシーンが出てきます。映画で使われる空は、空が大好きなお子さんが1年間撮りためた空の写真から厳選して使用したとのこと。素晴らしいですね。

映画はPappet Pals・ボイスメモ・iMovieなど複数のアプリを組み合わせてつくられました。こちらは音声を確認している様子。納得いくものができるまで、やりなおしました!

作本先生は、できるだけリアルな映画づくりの体験をさせたいという思いから、映画制作中は子どもたちを「衣装さん」や「小道具さん」など役職名で呼んでいたそうです。

これだけのクオリティの作品を、子どもたちが中心となって作り上げたと聞いて、本当に驚きました。しかも、これまでの園生活で子どもたちが大好きだったこと、探求してきたテーマがみごとぎゅっと詰まった唯一無二の映画です。
これは素晴らしい!ということで、生活発表会での発表を決めたそうです。

作本先生は、保護者を招待して実施した上映会で、子どもたちが一生懸命に保護者に説明している様子が印象的だったとお話されていました。保護者のみなさんも大変楽しまれたそうです。


最後に作本先生は次のようにお話されました。

「iPadはひとつの道具です。誰かが作ったものを楽しむだけではなく、自分たちが『つくり手』新しいものを生み出す。そんな体験を子どもたちと一緒に積み重ねていきたいと思います」


これからの伊佐中央幼稚園さんの取り組みも、とても楽しみです!