- 導入園の声
「KitS」に取り組む保育園
コビーアンドアソシエイツ・コビーソシオ
昨年度は3園でタブレットを導入。有意義な活動を経て、その可能性を確信。
–これまでも園での活動にPCやタブレットを取り入れられてきたとのことですが、どのような取り組みをされてきたのでしょうか。
昨年度は、コビーグループの「コビープリスクールよしかわ」、「コビープリスクールかみめぐろ」、「コビープリスクールさくらのさと」の3つの園にiPadを複数台導入し、それぞれの園で楽しんでもらいました。
先入観なく新しいものに向き合うことができるというのは、小さい子どもならではの素晴らしさですが、タブレットは吸引力の強いデバイスでもあるので、導入の仕方については十分にケアする必要があるだろうと思いました。
保護者の皆様に関しても、もしかしたら色々な質問や反対意見などを頂くこともあるかもしれないと構えていたのですが、完全に杞憂でした。好意的に受け止めていただけたと思います。
「かみめぐろ」、「さくらのさと」の2園では、自由遊びの時間に、遊具の一つとして遊ぶという位置づけだったのですが、「よしかわ」の三鍋園長はITに対して非常に積極的で、独自のカリキュラムを組み、一斉保育での活動をスタートさせました。
文字や数字を学ぶのと同じように、教室でタブレットを使って保育活動を行うためには、しっかりとした準備が必要です。一斉保育におけるタブレット使用は、保育業界においてもかなり先駆的な取り組みで、参考になるような情報もほとんどない中でのスタートでしたが、とにかく「やってみよう」という思いで、一年間活動を進めてきました。
勝手な思い込みや子ども達への押しつけがないように、ということは気をつけましたが、まずは自由に取り組んでもらって、そこからどんなことが掴み取れるだろうか、ということを重視しました。結果的に、非常に良い活動となり、多くの学びと確信を得ることができたと思っています。
まずは安全安心な環境で子ども達にタブレットを使用してもらい、大学の先生方も含めて、しっかりと効果検証をしていきたい。
–そのような活動を踏まえてのKitSプロジェクトへの参画ですが、狙いについて教えて下さい。
まずは、安全安心な環境で子ども達にタブレットを使用してもらい、大学の先生方も含めて、しっかりと効果検証をしていきたい、というのがKitSプロジェクト参画の第一の狙いです。
昨年度はステップ1の導入フェーズで、子ども達や先生の様子を見ながら手探りで活動を進めてきましたが、“よしかわ”のような良い事例を作ることができました。今年度については、そこから一段階上がって、「具体的な成果を出す」ことを目標にしています。
スマートエデュケーションが提供しているKitSのカリキュラムと、コビーならではの活動を上手く融合して子ども達に新鮮な体験を与えながら、子ども達がどんな成長を遂げていくのか、教室にどんな変化が生まれていくのかを、しっかりと観察し、次に繋がる学びを得ていきたいです。
また、今後導入園を拡大していくためにも、保育士のスキルや好き嫌いによらず、全ての園で同じ水準の授業ができるような仕組みも整えていきたいと考えています。
–今回、“よしかわ”と“かみめぐろ”の2園での導入ということですが、2園で同時に導入されるのはなぜですか?
ITの進化をいかにキャッチアップしていくかが課題。その難しさも含めて、前向きに挑戦していきたい。
–KitSの活動を通して、お子様たちに期待することについて教えて下さい。
保育現場でのIT活用においては、「テクノロジーの進化をいかにキャッチアップしていくか」ということが大きな課題だと感じています。今回のカリキュラムは今の技術で実現できる最善のものですが、来年になると別の技術を使う方がより面白い、ということも十分ありえます。そういう意味では、どんなアプリであっても、どんな技術であっても、親しみをもって使える気持ちが子ども達の中に育っていくことを期待しています。ある特定のアプリだけではなく、ITの存在そのものに興味をもってもらいたいですし、ITを使いこなせば自分のツールにすることができるんだということを、なんとなくでも掴みとってもらえたらいいですね。
–プログラムに取り組まれる先生方への想いについて教えて下さい。
保育現場を見てみると、運動が得意な保育士もいれば、音楽が得意な保育士もいます。保育士それぞれに得手不得手があるとは思いますが、それによって子ども達への教育に差が生まれてはいけません。保育士がピアノ嫌いだからといって、子ども達が歌を歌わないということはあってはいけないですよね。ITもそれと同じだと思います。
先ほどもお話しましたが、保育士の得意不得意、好き嫌いがある中でも、同じクオリティの保育が提供できる仕組みを作ることが今回の一つの狙いでもあります。パイロット園でプログラムに取り組む保育士には、誰もが簡単に導入して、指導していけるようなカリキュラムやマニュアルも整えていって欲しいですね。
もちろんITならではの難しさはあります。これまでの保育手法は、長年蓄積された経験値から生まれてきたものがほとんどですが、進化の早いITについてはそういうわけにいきません。本来であれば5年、10年という期間を経て検証していくものを、常にオンゴーイングでやっていかなくてはいけないのはとても大変ですが、その難しさを含めてやっていくのが今回の挑戦です。現場の保育士、研究者の先生方、スマートエデュケーションと力を合わせて、今後に繋がる良いものを是非作っていってもらいたいです。
–貴園の「幼児教育×IT」に関する今後のビジョンについて教えて下さい。
「子ども達の生きる力を育てる」というのがコビーグループのビジョンです。身体を強くすることも生きる力の一つですし、挨拶をすること、社会性を身につけることも生きる力に繋がります。その1つのパーツとして、IT活用教育も欠かすことはできません。
私が何よりも恐れているのは、大人の勝手な判断で、子どものチャンスを奪ってしまうことです。もちろん使い方や環境には最大限配慮すべきですが、「乳幼児には早過ぎる」という先入観や思い込みだけで、子ども達がITに触れる機会を取り除いてしまうのは避けたいと思っています。
正しく安全な環境でITに親しみ、生きていくためのツールとして、当たり前のようにITを使えるようにしてあげたいというのが、コビーのIT活用教育に対する基本姿勢です。コビーで育った子ども達が大人になって、「今の自分があるのは、あの時コビーであんな経験をしたからだな」と思ってくれることが、私にとっての一番の喜びです。
自分たちの得意分野でキラっと輝ける大人をつくっていくことが自分の使命だと考えているので、これからも勇気をもって色々なことに取り組み、子ども達の可能性を最大限に引き出す努力をし続けたいです。