KitS

園児向けのITを活用した教育カリキュラム こどもモードKitS

ニュース一覧に戻る 2015年6月10日

【検証報告】ICT活用の教育カリキュラム~園児の発達について

表現力・技巧力など「園児の創造力向上」に効果が認められる
園児向けのICTを活用した教育カリキュラム <こどもモードKitS>

kits2014_2

  (株)スマートエデュケーション(以下、当社)では、当社が開発したタブレット端末使用の「園児向けのICTを活用した教育カリキュラム/こどもモードKitS※」運用の成果確認のため、教育系NPO法人と共に、2014年度に2園(幼稚園・保育園、各1園)において、年長(5歳児)園児の効果検証を行いました。その結果をここに公表いたします。

 なお、日常の様々な活動を通じて園児は発達しますが、当社では今回の検証を通じて、「ICTの適切な活用も、園児の発達支援につながる」ことを明らかにしたいと考えています。

 また、今回の検証結果をもとに、『3つのいきる力』を適切に育めるように、当社ではカリキュラムの質を弛まず向上させて参ります。

 

 ※本カリキュラムは、「創造力」「チームワーク力」「ICT活用力」の『3つのいきる力』を育む事を狙い、構成されています。
 ※カリキュラムの詳細はこちらを参照 → http://kdkits.jp/curriculum/

 

  <結果サマリー>

『園児向けのICTを活用した教育カリキュラム』  園児の発達について

創造力

 ■ 表現力・技巧力などが、向上した
 ■ アイデア数が増加した

チームワーク力  ■ 課題解決のための園児同士の対話連鎖に、変化は無かった 
ICT活用力  ■ タブレット端末とアプリの操作力が向上した  

 


< 検証概略 >


 
「創造力」「チームワーク力」「ICT活用力」の『3つのいきる力』が、本カリキュラムを行う過程でどのように変化するか確認するため、カリキュラム導入前(事前検証)と終了後(事後検証)の差異の比較による園児の変化確認と、カリキュラム運用過程での記録分析を行った。

 事検証の様子  事検証の様子
jizen_3 jigo_2

 


< 検証方法と結果 >


 

創 造 力

検証方法

 園児がアイデアを出す際の、創意工夫の変化や表現工夫の変化を確認する。

 (1)課題に対するアイデア数について、事前・事後の平均値を求め、t検定を行った。

 (2)お絵描きアプリ上での作品について、事前・事後にルーブリック評価を行った。

 ■使用アプリ「Goccoらくがキッズ」

結果

 (1)課題に対するアイデア数は、A園では増加し、B園では変化が無かった。

 (2)作品が2園とも各項目(表現・技巧・調査※)で統計的に向上した。

 ※調査:アプリの機能を理解し使いこなす力/本ルーブリック調査は、一部ICT活用力の検証とも重なる

チ ー ム ワ ー ク 力

検証方法

 園児同士が力を合わせて、課題解決策を出すための話し合い過程の変化を確認する。

 ◯1人の園児の発言に対し、別の園児が反応して対話連鎖した箇所の出現数をカウントし、
 事前・事後の平均値を求め、t検定を行った。

 ■使用アプリ「みんなでつなげっと」

結果

 ◯2園とも、園児たちが話し合いながら課題を解決する対話連鎖に変化が見られなかった。

 ◯日誌等からは、話し合いに向かう姿勢や園児同士の関係性が築かれていく様子が伺えたが、
 検証状況においての変化は捉えられなかった。

 I C T 活 用 力

検証方法

 操作ミスや操作に関する質問回数の変化、アプリ機能の使用数の変化を確認する。

 ■使用アプリ「Goccoらくがキッズ」「みんなでつなげっと」

結果

 ◯A園では、操作に関する質問や相談が、統計的には有意ではなかったが減少した。
 また、操作失敗回数が減少した。

 ◯B園では、操作に関する質問や相談が、減少した(操作を習得したとみられる)。
 ◯また、操作失敗回数の変化(減少)は見られなかったが、失敗に動じなくなった。

検証方法概要についてはコチラ ⇒ http://kdkits.jp/news/20150610/739

 

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評価実験計画【1】事前検証と事後検証での園児の変化<お絵描きアプリ上での作品例>
ルーブリック評価での『ICT表現力※』の確認    ※ICT活用力と創造力の重なっている部分

  検証時 (2014年5月) 検証時 (2015年2月)
園児1
(男児)
はると1 降りられなくなった大工さん はると2 逃げるボクと追いかけるママ_2
表現:2点/技巧:2点/調査:1点  合計:5点  表現:3点/技巧:2点/調査:3点  合計:8点  
 

園児2
(女児)

 

mnk1 mnk2
表現:2点/技巧:1点/調査:1点  合計:4点   表現:2点/技巧:2点/調査:2点  合計:6点   
園児3
(男児)
sy1   sy2_2
表現:1点/技巧:1点/調査:1点  合計:3点    表現:2点/技巧:2点/調査:3点  合計:7点   
園児4
(女児)
 krn1 火事で困っている人と消防士 krn2 
表現:2点/技巧:2点/調査:2点  合計:6点    表現:2点/技巧:2点/調査:2点  合計:6点   
園児5
(男児)
 knt1 火事で困っている人 knt2 家を探す人_2 
表現:2点/技巧:1点/調査:2点  合計:5点    表現:3点/技巧:3点/調査:3点  合計:9点   

本件評価方法については、別ページ「検証方法概要」の「評価実験計画【1】事前検証と事後検証での園児の変化」の、「<4>Goccoらくがキッズ(お絵描きアプリ)」の作品/ルーブリック評価」欄をご覧ください。

検証方法概要についてはコチラ ⇒ http://kdkits.jp/news/20150610/739

 


< 検証を終えて >


 

yamauchi    [検証] 山内祐平氏

  東京大学大学院情報学環 教授 [web] 
  NPO法人エデューステクノロジーズ 代表理事 [web] 

  KitSの評価検証では、カリキュラムの目標である創造力、チームワーク力、ICT活用力について、どのように変化するのかについて検討しました。そのために、カリキュラム実施の事前事後の園児のタスク遂行状況の比較と、カリキュラムの過程での実施教員の記録による質的な分析をしています。
 [創造力]について、まず作品について事後により創意工夫が見られるようになりました。カリキュラム実践後に描画した絵では、「表現」「技巧」「調査」の観点からのルーブリック評価が向上しています。日誌の記述からも、他人の描くものと同じものを描く園児が多かった状況から、自分の描きたいものを工夫して表現する様子が見られるようになっています。検証を行った2園のうち1園においては、課題に対するアイディア数も、カリキュラム実践後には多く出せるようになりました。[チームワーク力]に関しては、与えられた課題に対し、力を合わせて解決策を出すための話し合うプロセスについては統計的に有意な差は見られませんでしたが、日誌の記述からは、普段の話し合いに向かう姿勢や園児同士の関係性が築かれている様子が確認できました。[ICT活用力]については、教員に聞きながら操作する回数が減り、園児自ら主体的に操作し、失敗しても動じず、冷静に対処する姿へと変化しました。
 以上から、KitSがカリキュラムとして機能していたことがデータにより裏付けられたと考えています。ただし、この結果には、教員が絶えず園児たちの反応や状態を吟味し、次の指導を工夫したことや、教員・アプリ開発者・研究員が話し合う定例会を設けたことも影響していると考えられます。KitSを導入する際には、このような実践を反省的に検討する時間も十分とっていただければと思います。

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noguchiのコピー    [導入運用] 野口哲也氏

  学校法人聖愛学園 聖愛幼稚園園長 [web] 

  絵が苦手な子の“心理的ハードル”を下げ、「何をどう書こうかな」と躊躇していた子が思い切ってかけるようになったと思います。「失敗したらダメなんだ」ではなく、「失敗してもいいんだ」という思いで取り組めるようになり、創造力の発達につながったのではないでしょうか。
 また、園児同士の話し合いが、回を重ねるごとに増えるのが見ていて分かりました。隣の園児に質問する姿も増えてきたし、コミュニケーションを取る能力は上がってきたと体感的に思えますし、コミュニケーションを取るのが苦手な園児でも、3学期には随分と成長したと思えました。KitSのカリキュラムが普段の保育には無い刺激を園児達に与え、それがコミュケーション力(チームワーク力)向上につながったのではないかと思います。
 もちろん、日常の様々な活動を通して園児は成長するのであり、成長の要因を1対1で特定することは難しいのですが、KitSのカリキュラムはその成長を促した大きな要因の一つであると感じています。

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minebaのコピー    [導入運用] 三鍋明人氏

  社会福祉法人コビーソシオ・コビープリスクールよしかわ園長 [web] 

  アイデアが浮かばない時、他の園児の絵を参考にして似た構図になることが多かったのですが、KitSを通して「自分の想いを絵にしよう、オリジナルのモノを描こう」という創造力が育ったように感じています。
 また、友達とのヤリトリが活発になり、相手と話をする中から、新しいアイデアを生みだす園児が増えたように思えます。KitS活動中のみならず、日常の活動の中でも「話し合って決める」、「相手の話をしっかり聞く」というような姿が見られるようになりました。皆でスムーズに話し合いが始められるというのは、KitS導入以前の同年齢園児と比べスムーズになったようで、チームワーク力も身についてきたように感じています。KitSは園児たちが楽しく活動できるように構成され、アプリの絵も音楽も親しみやすいので、自然に操作力も向上しています。
 また、目的がしっかりカリキュラム化されているので、運用面や保護者に理解されやすい点でも評価できます。さらに、デジタルとアナログが自然に融合する活動が基本となり、バーチャルな体験だけでは無く、実体験につながる体験ができる点がよいと考えます。

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ikeya2    [開発提供] 池谷大吾

  株式会社スマートエデュケーション 代表取締役 [web] 

  今回の検証を通して、園児の「創造力やチームワーク力」を育成するための手段として、ICTの有効性が立証できた事を嬉しく思っています。また、充分に効果が出ない部分も明らかになり、早速カリキュラムのブラシュアップにつなげます。
 定量的なデータ検証のみでなく、日々園児と接している先生方から、日常生活の中で「お絵かきが積極的になった」「話し合い、助け合いが増えた」といった定性的な評価もいただき、継続してKitSをご活用いただいている事に感謝しております。
 ICTの進歩や各園からのフィードバックを、引き続きスピーディにキャッチアップし、園児の「いきる力」を育める、更に充実したカリキュラムにして参ります。

 


< 検証実施に関する条件など >


 

【 検証実施機関 】

NPO法人エデューステクノロジーズ (代表理事:山内祐平氏/東京大学大学院情報学環教授)
http://www.educetech.org/


【 検証対象者 】

当社カリキュラム導入の『聖愛幼稚園』(対象園児24名)と、
保育園『コビープリスクールよしかわ』(対象園児23名)、計2園(計47名)。
なお、対象園児は両園とも年長(5歳児)。
※園児などの特定を避けるため、本報告上では検証2園を「A園・B園」と表記。


【 検証対象期間 】

2014年5月~2015年3月
なお、[事前検証]は概ね2014年5月、[事後検証]は概ね2015年1~2月に行った。


【 対象園の当社カリキュラム実施回数 (2014年度実績) 】

■幼稚園:15回
■保育園:31回

幼稚園では概ね当社カリキュラムに則り活動していたが、保育園では当社カリキュラムを元に独自の活動も加えることがあった(Skypeによる他園との交流や、カメラ機能を使っての植物生長記録撮影など)。そのため幼稚園と保育園の、検証に影響すると考えられるカリキュラム実施の回数差が、単純に「2倍/半分」とはならない。なお、1回のカリキュラム実施時間は、概ね40~60分程度。



報道機関の皆様へ

本件に関し、別途説明を差し上げることが可能です。
また、導入園の見学も可能です。
詳しくは広報担当者(井上)までお問い合せください。
[mail]  pr※smarteducation.jp (※を@に置き換えてください)
[TEL] 03-6431-8910

 以上

KitSの効果検証

「こどもモード KitS」の
ネーミングについて

株式会社スマートエデュケーションが国内向けに展開する知育アプリのブランド「こどもモード」から派生させた、「KIDS(子ども達)のIT体験プログラム」という造語。「子ども向けのIT」を意味する小文字化した「it」を、「K・I・D・S」の「I・D」部分に収めました